201人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらく黙っていたリカルドが、ぼそりと言う。
「この袋、修理は無理だろうから、もう別のものを買おうかな、と諦めかけてたところで……。直っただけじゃなくて、母ちゃんとジュリエッタが協力して作ってくれたみたいになって、俺…………すごく、すごく、嬉しい……」
「そんなに、嬉しかったの?」
訊ねると、リカルドは静かにこくりとうなずいて、ゆっくりと私を抱きしめた。
いつもあんなににぎやかでよくしゃべるリカルドが、黙りこんでしまった。
「嬉しかったならよかったけど……」
リカルドが抱きしめる腕に力を込める。私もそっとリカルドの背に腕を回し、応える。
いつまでも抱きしめ続けるリカルドに対して、これ、どうやって抜け出したらいいのか……と、ひそかに悩んだのは内緒だ。
最初のコメントを投稿しよう!