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序章
木枯らしに落ち葉舞い散る9月の夕暮れ時。彼女は、高校の校舎を急いで走っていた。
彼女は高校一年で美術部に所属していて日本画を描いている。
つい先程まで友達といたのだが、美術室にスケッチブックを忘れて、慌てて戻っている。
美術室にたどり着き、息を整えると勢いよくドアを開け、電気をつけ誰もいない美術室に入り、自分の座っていた場所へ歩み寄る。スケッチブックに触れると夕陽が顔を照らし、目がくらんだ。
「眩しい!」
その夕陽は教壇に置いてある絵に光を当てた。
“女の子の絵?“ と思ったのもつかの間、絵は光り輝き始め、彼女も謎の光に包まれだんだん意識が遠のいて行った。
川のせせらぎのような音に彼女は目を覚ます。
……何か、肌寒い。
薄目を開けるとゴワゴワした草の上に寝転んでいる。
――何ここ? 何で私、こんな所に?
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