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ゆっくり起き上がり辺りを見渡すと、丸くて赤い郵便ポストが彼女の視界に入る。車も、珍しいような丸みを帯びた小さな車が目立っている。行き交う人々の服や学生服も、どこか現代と違う気がする。
……これは一体……?
彼女は状況を理解するのに苦しんだ。
――あ、あそこに学生帽をかぶって学生服を着た男の人がいる。よし、聞いてみよう。
彼女は立ち上がると服の汚れを払い、彼の元へ近づいて行く。
川べりは肌寒く、草を踏むとカサカサ音を立てる。近くへ行くと彼が音に気付いたのか、こちらを向いた。彼女が声をかけるよりも先に彼は口を開いた。
「僕に何か?」
深めに被られた学生帽を少し上にずらし、帽子のすき間から短い黒髪が見える色白の彼は彼女を見上げる。彼女は少しかがみながら声をかける。
「突然すみません。ここはどこですか?」
彼はかすかに目を見開き、しかし人の良さそうな彼は答えてくれる。
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