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信治との出逢い
朝食後、アトリエに通された菜美子は、数々の絵に魅了されていた。
――凄い。今じゃ美術の教科書に載る程の絵を、まさか生で見られるなんて。こうして見ると、ひいおじいちゃんって本当に凄い人だったんだなぁ……。教科書で見ていたし話には聞いていたけど。
菜美子は画材置き場にある画材を借りると、絵を描く準備を始めた。昨日は暗くて分からなかったが、アトリエには大きな窓があり、窓の外にはとても見事な日本庭園が広がっていた。桜の木が生えていて、池があり飛び石も置かれている。
――美しいなぁ。
菜美子は感嘆のため息を漏らしながら早速、アトリエの窓から見える庭の景色をデッサンして行く。
「先生、どうでしょう?」
デッサンを一通り終え、利治に意見を求める。利治は菜美子の絵を受け取り、じっくり眺める。
――うわぁ。ドキドキする……。
「ここをこうして、こういう風にしたらどうかな?」
利治は菜美子に手本を見せる。
「ああ! なるほど……。本当ですね、さすがです、先生!」
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