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菜美子は、利治から絵を受け取ると続きを描いていく。そうして数時間が過ぎ、気がつくとお昼になっていた。
“コンコン”とノックの音がしてみちの声が聞こえる。
「利治さん、菜美子さん、そろそろお昼にしましょう」
菜美子は壁にかけてある時計を見た。時計の針は12時を指している。
お昼を食べ終えると、今日はもう終わりにして良いと言うことで、自由にして良いと言われた。菜美子は特にすることがなくなり、昨日の土手へ行ってみることにした。
しばらくそこへ座り、デッサンしていると後ろから声が聞こえて来た。
「あれ? 菜美子さん?」
振り返るとそこにいたのは治弥さんともう1人。見知らぬ男性がいた。
彼は高身長で、スラリとしている。肌が浅黒く逞しい感じだ。顔は濃い目で目鼻立ちがはっきりしている。
「治弥さん! 大学はもう終わりですか?」
「はい。今日は午前だけでしたので。あ、紹介しますね。僕の親友の吉野 信治です」
「どうも」
吉野さんはペコリと会釈をする。
「で、こちらが昨日から父の弟子になった、菜美子さん」
「高須原菜美子です。よろしくお願いします!」
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