信治との出逢い

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菜美子は笑顔で挨拶をする。 「僕達も丁度、土手で絵を描こうと思って来たんですよ」  そう言って2人は私の側へ腰を下ろした。 「吉野さんも大学生なんですか?」 「いや、俺は大学へは行ってないです」 「働いているんですか?」 「アルバイトですけど」 「そうなんですか。吉野さんも絵が好きなんですね」 「ああ」 「そういえば、治弥さんは何歳ですか?」 「僕ですか? 僕は22です」 「ということは、大学4年ですか?」 「そうです。来年には卒業して、就職します」 「そうなんですか。吉野さんも治弥さんと同じ位の歳ですか?」 「ああ。治弥と同じ歳」 「そうなんですね」 「そういう菜美子さんは何歳ですか?」と吉野さんが聞いてくる。 「私は16です」 「16かぁ。若いなぁ」 「ふふふ。そんなに変わらないですよ」 「いやいや、若いよ。なあ、治弥?」 「ん? ……ああ、そうだよね」 「悪い、集中してた?」 「うん。少し。大丈夫だよ。話してても」  そう言って治弥さんは暖かな笑みを浮かべる。 ――本当、おじいちゃんって穏やかだなぁ。いつか言った方が良いのかな?おじいちゃんだって。
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