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母とのこと2
「菜美子。絵はいつまで続けるつもり?」
――やっぱり……。反対されるのは分かっているけど、どうしても譲れない!
「私、絵はずっと続けたい。画家になりたいの!」
母は大きなため息をつく。
「菜美子……、あのね」
「言いたいことは分かってる」
菜美子は母の言葉をさえぎり話す。
「絵の仕事だけじゃ生活出来ないとか。女は結婚して、家にいた方が良いって言うのも分かる。でも私は、絵を続けたいの! 美大へ入りたい! 今の時代なら、絵の仕事も色々あるし……」
「美大へ行くのはかまわないわ」
「お母さん!」
菜美子は嬉しさのあまり心が彈んだ。
「その代わり、卒業したら結婚しなさい」
「え……?」
「仕事と家のことを両立するのは大変なのよ」
「……お母さん、私は」
――声が上手く出ない。悔しくて苦しい。お母さんはちっとも賛成してくれない。
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