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「おばあちゃん、ありがとう!」
菜美子は嬉しくて祖母に抱きつく。
「良いのよ、これくらい。私はね、本当に菜美ちゃんには才能があると思っているの。ゆき子がなんて言おうと、続けてほしいの」とハナは菜美子の頭を軽く撫でながら、
にこやかに言う。
「おばあちゃん!」
菜美子は嬉しかった。父は結婚後も母に仕事をしても良いと思っていた。男だから女だからとは言わない。
母は絵が嫌いという訳ではない。考え方が古風な為、女は家庭に入るのが一番だと思い込んでいる。そんな母も結婚する前はカラーコーディネーターをしていた。結婚が決まり、仕事を続けようか迷ったものの、家庭に入った方が良いという思い込みで、辞めてしまった。他の人の描く絵にはそれ程関心はないのに、父・治弥の描く絵は好きだった。
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