恋の予感

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恋の予感

次の日。とても気持ちの良い秋晴れの昼過ぎ。  利治に今日は忙しいと言われすることもなく、みちの手伝いをしようにも“大丈夫よ”と断られてしまった。  いつもの土手へ行くと、昨日紹介された、信治さんがいた。菜美子はゆっくり近付くと、笑顔で声をかけ近くに座る。 「こんにちは」 「ああ、確か……菜美子さん」 「はい。吉野さんですよね?」 「信治で良いよ」 「え、でも……」 「吉野さんって言われると何か、よそよそしく感じるんだよな」 「それじゃあ、信治さん……で」 「うん、よろしく」と少しだけ信治は笑う。  キラキラ光る水面に小鳥が舞い降りて来る。  菜美子は小鳥を描こうとスケッチを始める。 「つがいかな?」 「ん?」 「あの小鳥達。つがいみたいじゃないですか?」 「ああ。だな」 「良いなぁ。仲良さそう。可愛い……。あっ!」
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