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「ま、良いよ。それより本題なんだけど」
真剣な面持ちで高井は菜美子を真っ直ぐ見つめる。
「う、うん」なんとなく菜美子は身構える。
「俺、ずっと高須原さんのこと気になってました! 付き合って下さい!」
高井に勢いよく頭を下げられ、菜美子は困惑して固まってしまう。
――どうしよう。高校に入ってもう半年経つけど、かれこれ3人目。どう断ったら良いの?
いつまでも返事をしない菜美子の様子を見ようと、高井は顔を少し上げる。
「高須原さん?」
「あ、えっと……」
「もし、付き合ってる人がいるなら諦めるけど、そうじゃないなら考えてほしい」と、再び頭を下げる。
――いないけど、やっぱり私は……。
「ごめんなさい!」
菜美子も彼に勢いよく頭を下げる。
「そっか。いるんだ? 彼氏」
「うん、実は」
ーーどうしよう。嘘付いちゃった。いくら断りたいからって……。ごめんなさい!
「同じ学校の人?」
「ううん。違う学校の人」
「好きなんだ? そいつのこと」
「うん、凄く」
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