プロローグ

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プロローグ

 初めて動物園に連れて行ってもらったのは、いつだったかな?  たぶん、まだベビーカーに乗っていた頃だよね。  わたしは、特に動物が好きってわけじゃなかったけど、動物園へ行くのは楽しみだった。  猛獣を間近で見ても、けっして怖がったりしなかった。  だって、どんな動物も、わたしを優しく見守ってくれているように思えたんだもの――。 <こんにちは、人間の子ども。わたしのたてがみが気に入ったようだね?> <あらあなた、わたくしの長いしっぽが気になるの? もっとよく見せてあげるわね!> <お嬢さん、もう少し大きくなったら、わしの背中に乗りにおいで!>  ライオンが、オナガザルが、ポニーが、そんなふうに話しかけてくれている気がした。  気がしただけ――、ずっとそう思っていたんだけどな……。
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