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新年度三日目、それは運命の日!?
「陽菜! いい! 絶対にえんりょなんかしちゃだめだからね!」
「うん、わかってる!」
「あんた、人がいいから、何でも友達にゆずっちゃうけど、今日はそれはなしだよ!」
「うん、がんばるよ!」
玄関でくつをはいていたら、お姉ちゃんに念を押された。
五年生になって三日目。
今日は、どの委員会に入るかが決まる大事な日――。
担任のリナタンは、希望をとって決めるって言ってたけど、最後はじゃんけんかもね。
わたしの第一希望は、放送委員会。
運動会で実況をしたり、毎日お昼の放送を流したり、アナウンサーみたいでかっこいい。
希望者が多いだろうなあ……。無理かなあ……。
第二希望は、保健委員会。
子ども看護師さんって感じ。やっぱり、女子にとっては憧れの委員会なんだよね。
養護の狭山先生は、アイドルとかに詳しいし、楽しいおしゃべりもできそう……。
いちおう、第三希望は、給食委員会にしておこうかな?
お昼の給食放送とか掲示板の献立の張り替えとか、当番活動はいろいろあるけど、力仕事じゃないからいいよね。
で、絶対にNGなのは、運動委員会、リサイクル委員会、そして、飼育栽培委員会。
理由はそれぞれあるんだけど、とにかくこの三つにだけは入りたくないなあ。
四年生の最後にあった委員会活動見学で、どれも「わたしには無理そう」って思った。
とくに、昼休みや夏休み中も当番活動がある飼育栽培委員会は、みんなが「無理無理~!」って言ってたんだよね。わたしもおんなじ気持ち。
誰かがやらなきゃならないんだけどさ……。
その誰かが、わたしではありませんように!
玄関の前で、「負けるなよ、陽菜!」とお姉ちゃんが言い、わたしの頭をポンポンした。
わたしに足りない、勇気と根性を注入してくれたんだ。これで、大丈夫!
そして、お姉ちゃんは、中学校へ――。わたしは、登校班の集合場所へ――。
二つの方向に分かれて、それぞれ歩き出した。
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