初めての委員会活動 不運はまだまだ続く!

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初めての委員会活動 不運はまだまだ続く!

 あれから、一週間――。  あの日、無事に亜香リンも飼育栽培委員に決まったし、家に帰ったら、お姉ちゃんが「くじびきかあ……、運がなかったね!」と言いながら、お気に入りのヘアピンを一つくれた。  おかげで、なんとかわたしは復活できた。ありがとう、亜香リン、お姉ちゃん!  そして、今日の六時間目は、初めての委員会活動。  帰りの会が終わって、みんなはそれぞれ委員会の集合場所へ向かった。  わたしの集合場所は、五年二組の教室。  つまり、この部屋――。  飼育栽培委員会の担当の先生がリナタンなのは良かったけど、ほかの教室へ行けないのはちょっと残念な気もする。  今、この教室には、わたし以外の生徒は一人しかいない。  後ろの席で、静かに宿題をやってる男子。羽生田快人(はにゅうだかいと)君……だけ。  わたしと違って、第一希望が飼育栽培委員。  当番活動で昼休みに遊べない飼育栽培委員を希望する男子なんて、よほどの生き物マニアか、よほどの変わり者だよね。  まあ、羽生田君の家は動物病院だから、前者の方かもしれないけど――。  うちのクラスの飼育栽培委員は、本当は女子がもう一人いるんだけど、その子は去年からずっと学校へ来ていない。  中山彩芽(なかやまあやめ)さん。今年初めて、同じクラスになった――。  リナタンが、委員会の希望を聞こうとして電話をしたら、「飼育栽培委員がいい」って、中山さんが言ったんだって。  だから、いちおう飼育栽培委員会には入っているけど、いまのところは幽霊委員状態なんだよね。 「イエーイ! 来たよ―、陽菜―っ!」 「亜香リン!!」  ちょっと沈んでいた六時間目の教室が、亜香リンの登場でぱっと明るくなった。  亜香リンは、わたしの隣の机の上に、ボンッと空色のランドセルを置くと、振り向いて羽生田君を見た。  そして、すごーく親しげに、彼の肩をトントンたたきながら言った。 「快人―っ! 良かったねえ、陽菜が飼育栽培委員になってくれてさ!」 「亜香里が付いてきたのは、余計だったけどね――」  えっ? なに、なんの話?  それより、どういう関係なの、この二人は?  事情がわからず、きょとんとしているわたしに、亜香リンがにんまり笑いかけた。  羽生田君は、ちょっと顔を赤くして、うつむきがちにわたしを見ていた。
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