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第3話 友の夢
中学にあがり、ガンの子の方は中学へ上がったらへんで病気が悪化した。
名前は、夏目と言って、周りを笑わせてくれるような元気で明るい子だ。
夏目は僕の誕生日の近くに亡くなった。
ガンの手術があって、それに耐えられなくてどんどん弱っていって亡くなった。
夏目が亡くなったあと、僕の家に手紙が届いた。
しかも、亡くなった夏目からだった。
手紙の内容は
「誕生日おめでとう」
ってそう書いてあった。
その手紙を読んだ時、涙が止まらなかった。
こんな悲しくて嬉しいサプライズなんか想像できなかった。
当然、友達からの手紙は嬉しいけど、同時に寂しさも出てくる。
それ以来、僕は自分の誕生日が来ると、悲しくなった。
自分の誕生日が来る度に、夏目の手紙を読んで、泣いて、高校3年生になっても夏目の手紙だけは絶対に読んでいる。
僕はある日、夏目が生きている時に約束したことがあった。
「自分はもう死ぬし、夢を叶えられないから、代わりに声優になって欲しい」
って……。
僕は
「どうして、声優になりたいの?」
と聞いた。
夏目は
「俺は演じることが好きなんだ。演じてるとね、自分以外の誰かを演じるって感じれる。後は、僕のおばあちゃんは声優だったんだ。いつも楽しそうな顔をしながら、声優してる姿を見て俺も声優になってみたいって思ったんだ。」
そう嬉しそうに悲しそうに話していた。
僕は声優っていうのがどんな仕事かも分からなかった。
でも、夏目が僕に託してくれた夢だから、何があっても叶えようっ
て思った。
それがきっかけで僕は中学の演劇部に入った。
演劇部はとてもいい所だった。
先輩は優しく教えてくれるし、みんな楽しそうでやってる。
でも、ある1人を除いては……。
そのある1人とは、演劇部の顧問だった。
だって、演劇部の台本も全部顧問が考えて、内容とかもごっちゃごっちゃなのにそれでも突き通していた。
だから、僕が入った演劇部は1度も優勝もしたことはなかった。
そんなこんなで相談出来る友達を僕は一気に無くし、中学校生活が始まった。
順調に友達作りは出来たけど、たった1人親友って呼べる友達ができた。
名前は司と言った。
司は周りが華やぐような陽気な人だ。
司には、亡くなった友達の事とか、家庭環境の事とか、会話のネタ
みたいな感じにして話してた。
だって、僕にとってはネタ話にして、話すのが普通だったから。
「朝、またお兄ちゃんに暴言吐かれたよ〜」
「漫画好きなのとか人間じゃねぇよって言われた!」
「酷くね!?お前の方が人間じゃねぇよ」
とか言って笑って話してた。
そう、ただネタにして笑って話してただけだったのに……。
それが引き金になったのだろう。
林間学校の時に、バスの行く途中で司が何故か泣いてた。
「なんで泣いてるの?」
って、司に聞いたら
「何も出来なくてごめん」
って言われたんだ。
僕はその時、やっと分かったんだ。
僕が話してたいつもの家庭の事情は司を泣かせてしまうぐらいのものだったと気づいた。
僕が中1のとき、お兄ちゃんは高3で絶賛大学受験期!
もちろん、お兄ちゃんは勉強なんてしなかった。
借金だらけたったのに塾に行けてたのは、お母さんがお母さんの親戚に頭を下げて、お金を借りてた。
それもあってか、お兄ちゃんとお母さんの言い争いが勃発して、挙句の果てにお母さんが包丁を取りだした。
「アンタなんか殺してやる」
ってお母さんが言って、お兄ちゃんは
「殺してみろよ」
とか言ってて、めちゃくちゃ怖かったのを覚えてる。
そこまで、細かく司に話してなかったんだけど、林間学校の夜に司が急に暴れだした。
僕は司にどうしたの?って聞いた。
そしたら、
「怖い夢を見たんだ。お前に殺される夢を見たんだ」
って泣きながら僕にしがみついて言っていた。
そこから僕は思った。
「もう、司から距離をとろう。誰にも相談しないようにしよう」
そう、心に誓った。
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