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しかし、実家の没落は身内が引き起こした恋愛沙汰が発端であり、それは上流階級の人間を複数巻き込んで、危うく皇室の人間も巻き込まれかねなかった。当時は大々的に新聞の一面を飾ったほどである。よって、東明家はお上からの処罰を下されての爵位返上、没落と相成った。
流石に身内としては、のうのうと宮内省に勤めて今までのように近侍として高貴なお方のお世話をする訳にはいかない。そこまで厚顔になれる訳がない。
兄自身の仕事振りや人柄に問題はなく、落ち度はなかったが、圭祐は身内の恥を理由に、東宮侍従をクビになる前に自ら辞職した。
圭祐が侍従を辞めたから満穂も女学校を辞めるつもりでいたのに、兄は知的好奇心の強い満穂が学問を好いていると知っていたし、今の時代、女子にこそ教育は必要だと感じているらしく、絶対卒業させてやると息巻いて、何と活動弁士を始めた。
兄のお陰で満穂は没落後、平民よりつましい暮らしでありながら、授業料だけは払う事が出来た。卒業するまで女学校に通う事が出来た。有難い事だ。
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