子供にはあたりまえ

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「千島大地です。よろしくお願いします」  颯太が自己紹介すると、大地も頭をさげた。 「颯太くんのお母さんから、お話は聞いています。今薗尊です。よろしくお願いします」  尊も頭をさげた。  小学生にも尊は丁寧な口調で、なんだか変った人なのかと、颯太は思った。  大銀杏の木の横まで移動して、大地が百分の一スケールに起こした図面を尊に見せた。 「これなんですけど、合ってますか?」  じっくりと図面を見た尊が 「配置は変わっていないので、合っていると思います。全部再現するんですか?」 「はい」  二人で頷くと 「そうですね、『北辰の梟』と『子育ての虎』と『つなぎの龍』を押さえておけば大丈夫じゃないでしょうか。秩父神社の見所ですし。それぞれの説明はしたほうがいいですか」 「なんとなくしか知らないので、お願いします」  大地が不安そうに答える。 「地元の人でも、身近なものだと返って知らないものですよね。なんとなく知っていても改めて知るいい機会になると思います」  尊に言われて、それもそうか、と納得する。意外に地元民でも知らなかったりする。 「歩いてみましょう」  尊に促されて境内を歩き始めた。
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