子供にはあたりまえ

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「ここに三猿がいます。秩父神社では「よく見て、よく聞き、よく話す」三猿です。『お元気三猿』として現代に親しまれています。家康ゆかりの東照宮にあるのは「見ざる聞かざる言わざる」ですね。ダジャレのセンスは伝説的だと思います」 「あー、ダジャレだったんですね」  颯太は笑う。 「東照宮の三猿と写真で比較しても面白いかもしれませんよ」 「それいいな」  尊の案に大地が乗って、三猿を撮っていた。 そして尊が本殿の裏に歩いていく。片手を上げる。 「『北辰の梟』です。梟の体は本殿を向き、頭は正反対の真北を向いて昼夜問わず、ご祭神をお守りしています。古来から梟は知恵のシンボルとして信仰されていますね」 「大地はご利益もらったほうがいいんじゃない」 「颯太もだろう」  小声で言い合った。 「中学生になると北辰テストがありますが、その『北辰』はこの梟が由来だとも言われているので、学力を向上させたい場合は是非、知恵梟守りを身に付けてみてください」 「頭良くなる?」  大地が期待を込めて問うと
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