子供にはあたりまえ

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 と付け加えた。 「うん、嫌な気分になるね」  颯太も同意する。 「今週はお盆で、写真は上手く撮れないだろうから、前に撮った写真で出来るところから進めておこう」  颯太が提案すると、大地が「そうだね」と答え、この人ゴミを縫って歩き出す。歩きながら大地が忌々しそうに毒づいた。 「パワースポットとか言ってるやつら、死滅しろ」  颯太も、地元の神社が踏み荒らされて、憎しみに近い怒りが湧いたが、言葉には出さずに飲み込んだ。 お盆中は大地が颯太の家に来て、ひたすら二人でパーツにアクリル絵具で着色作業をしていた。無言でいても気まずくならない関係は気楽だった。  お盆も後半になり、ほぼパーツも着色し終えた頃。大地が急に大声を出した。 「あ! 奥の額殿と天神地祇社の写真を撮ってなかった!」 「あー……区切りのいいところで、お昼食べてから撮りに行くのでもいいんじゃない 「そうだな、午後のほうが人も少ないだろうしな」 「そうめん茹でるからテーブル片付けて待て」 「えー。またそうめんかよ。毎日食ってる」 「簡単でいいだろう。文句を言うなよ」  颯太が台所に立つ。 「颯太、喉渇いた」
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