子供にはあたりまえ

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 さらに颯太が言葉を続けようとしていると、苛立った声で 『うるさい! お前には関係ないだろ! こっちは生きるためにババアのご機嫌取ってるんだよ!』  頭がキンとする罵声をケイタが送って来た。だがケイタは笑顔で大人たちに『メッセージ』を伝えている。 「アメノミナカヌシさんが、ミドリさんに力を貸してくれる、って。万事そなたの思う通りにせよ、道は間違えてはいない、って言ってるよ」 「ケイタくん、ありがとう! 龍の使い方を教えて!」  ミドリはその気になって、龍を使いものにする気満々でケイタに聞いている。 「もうミドリさんの左手に龍が宿っているよ。守ってくれるから安心して」  ケイタは自分が伝えたメッセージの出来映えを確認するように、母を見上げた。 「他の人にもメッセージを降ろしてみて」  母がケイタを促す。  蒸した空気は、ぴくりとも動かず、ケイタの言うメッセージの内容が、奉られている神様のものではないことを颯太は体感していた。
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