子供にはあたりまえ

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 猿面はケイタの思っていることを読み取ったように、 「で、君も自分が何になりたいかを他人に聞くのか? 他人が君の答えを知るわけないだろ。君自身のことなんだ。他人からもらった答えを真に受けて先々『こんなはずじゃなかった』って誰かのせいにするの? 後悔するのは自分で決めなかったからだよね?」 「ぼくの意思を曲げられて決まってしまっていることなら仕方ないじゃないか! 子供は親に気に入られなければ生きていけないんだ! 親が勝手に決めてしまうなら対抗のしようがないじゃないか!」  猿面は少し考えこんでから言った。 「本当に怖いのは、君が母親に振り回されて費やした貴重な時間や、その後の人生の責任なんて母親は取ってくれないよ。『君がしたこと』が今後の君の評価になってしまうんだよ」 「じゃあ、どうすればよかったんだ」  猿面が呆れた声でかえす。 「君が、あの母親を甘やかしたんだ。何でも母親のいうことを聞いてあげすぎたせいで、子供に甘えた親が出来上がってしまった。別々の人間である以上、突き放して親の甘えでできあがった共存関係を終わらせなければならないよ。君はどうしたい?」
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