子供にはあたりまえ

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「たまたま秩父神社が百社目だったと思うかどうかは、君の勝手だが、我が主様だけでなく、他の御柱様方が君の行動を目に余ると仰せでね。君と、二人のあの子供たちの力の半分を、君の母親が望む力として与える裁決をなされた。どういうことだか、わかるか?」  猿面が揺るぎのない声で淡々とケイタに告げた。 「神々を甘く見ていたな?」  愕然とした。ケイタは自分の足元に手をついてへたり込んでしまう。 「『ぼくが望んでしたことじゃない』とでも言い訳してみるか?」  頭の中が真っ白になる。なんとかケイタは声を絞りだした。 「それはつまり、ぼくたちから力を奪ってお母さんの願いを叶える、ということ?」  猿面が沈黙で肯定する。 「あの二人は関係ないだろ!」  ケイタは足元の拳を強く握りしめて震える。 「我が主様のご聖断は人智の及ぶものではない」  猿面が静かにつづける。 「まだ終わりではないよ。人の望みには果てがない。君の母親が望む力を得た先で、さらに何をしようとしているのか、見ておくといい」 猿面が、また川面をそっとかき回した。 「君の母親の本心を映した世界をみてみよう」
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