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川底に映る家はすっかりリフォームされて、ケイタが見慣れた自宅の面影は、ほとんど残っていなかった。
それに表札も『日野原』から『月神』に変わっていた。
一緒に川底を見ていた猿面が
「よりによってツキガミとは……」
とケイタの隣で独り言を言う。
川底のその家に、ひっきりなしにケイタの知らない人たちが出入りするようになり、人々が閑静な住宅地に列をなした。
並んでいる人々に、整理券を配る白い割烹着姿の女性が現れた。もちろんケイタはこの女性が誰なのか心当たりはなかったし、知り合いにもいなかった。
車が細い道路を埋めて、近所の住人が割烹着姿の女性に
「こんな細い道で渋滞したら生活に支障がでるからどうにかしてくれ」
と猛抗議していた。ケイタの自宅の付近に大きな駐車場はない。
割烹着姿の女性が玄関に入っていく後ろ姿を追うように、川底の景色が動いた。
女性の肩越しにみえた清香の身なりに、ケイタは目を見張った。
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