子供にはあたりまえ

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 頭上に、何か圧倒的な輝きと気配を感じたが、目線をあげられない。あげてはならないと、本能が訴えている。  気配だけで、怜悧な刀を向けられている殺気に似た荘厳さが、ケイタの肌を撫で鳥肌が立つ。身動きができない。  何だ、これ……。  今まで感じたことのない緊迫感に、耐えた。  そして伝わってくるのは思念でもなく、声でもなく、ただイメージだけ。  それをゆっくり脳の内部で言語化され、人間に理解できるように組み立てられていく過程が、永遠の時の長さに感じられた。  この存在を神様というのか。  『神様からのメッセージ』は、本当はこれほど圧迫感があるのか。  ケイタが聞いていた『神様からのメッセージ』はほんの一部、人に理解できるところまで降りてきた真意の一部であると思い知った。畏怖、という思いが自然にケイタの中で湧き上がる。  脳内で言葉として意味をなし始めた真意に、カタカタと歯の根が合わないほど、小刻みな震えが止まらない。 〈人の子らに宣告する。  この者、ケイタからは神からの声を感じる聴覚と、思考を感じる能力を  この者、颯太からは神が視える能力と、思念を共感する能力を
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