9人が本棚に入れています
本棚に追加
ケイタの行く先を見守るような壬申の気配を、ずっと感じていた。
※※※※※
颯太は、大地と異界の森の外周から中に入れずに、延々とケイタを探して回り続けていた。そこに神圧が急激にかかり、告げられた言葉を理解したあと、ゆっくり顔を見合わせた。
「オレ、もう幸運がないの?」
先に口を開いたのは大地だ。
それから猛烈に怒っている。
「オレだけ幸運なの? よりによって幸運をもっていかれるの納得いかねぇよ! あーもうオレはこの先、ラッキーなこともないまま生きなきゃなんだぁー……!」
大地が頭を抱えて唸る。
「どうなっちゃうんだよ!」
大地が大声で叫んでいるが、その場に座り込んでしまった颯太は、神圧がかかっていたときの、不思議な感覚を追っていた。
頭の芯が凍てつき、脳の内部で立体的に組まれ、立ち上がってゆく言葉に理解はあとからついてきて、まるで魂へ入り込まれたような……直接、触れられたような、あの感覚が離れない。
「……おい、颯太!しっかりしろよ!」
最初のコメントを投稿しよう!