子供にはあたりまえ

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 昼間は大地との自由研究をやり、夜はその他の宿題をやる。だんだん飽きてきて「お金があったら宿題代行サービスに頼むのになー」夕飯を終わらせて、颯太は算数ドリルの問題を解きながらぼやいた。  颯太の家は、勉強熱心な他の同級生の親と比べると「勉強しろ」とは言わない。やりたければ、やればいいし、それも自由、と言う方針で、みんなが行っている塾には行っていない。一度、颯太が自ら「塾に行きたい」と言ったとき父が 「なぜ行きたいのか理由をよく考えろ。みんなが行っているから行きたいのか。お前はすぐに飽きるから続かないだろう。目的があってのことなら行かせてやる」と言った。「何のために行くのか曖昧な考えで行くのなら身にならない」  父の言い草に腹が立って、売り言葉に買い言葉で、「勉強したいから塾に行きたいんだよ!」と颯太は父と喧嘩になった。その日は父の顔も見たくなくて、夕飯も取らずに布団を敷いて早々に潜り込んで寝てしまった。  数日後、父宛に小包が届き、父の帰宅後、その小包の中身を渡された。  学習タブレットだった。  颯太は何とも言えない「これじゃない感」を味わった。
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