子供にはあたりまえ

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「ごめん、ちょっとパニックになってた」 「左耳以外の変化は?」  大地が気遣うように、ケイタの肩を優しく叩いた。 「いまのところ、ない。と思う」 「じゃあ、こっちに戻ってきてからの俺たちの変化を、まとめてくれ」  大地が、颯太に目線を向ける。いつもなら「自分でまとめろよ」と言うところ だ。颯太は起きたことを順番に思い出して言った。 「変化その一、三人とも額に痣ができた。  変化その二、ぼくの眼が灰色になった。  変化その三、ケイタの左耳が聞こえなくなった。  変化その四、大地が五秒後の景色が見えるようになった」 大地が考えをめぐらせているのか、じっと天井を見て、それからケイタの顔をまっすぐに捉える。 「いまはこれだけだけだが、今後、もっと何か異変があるかもしれない。念のためケイタと連絡先を交換しておきたいと思うけど、どうかな?」  ケイタは目を見開いて驚きの表情になった。 「なんでびっくりしてんの?」 と大地が唇を尖らせて「嫌なら断ってくれてもいいけど?」と付け加える。
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