子供にはあたりまえ

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「そろそろミドリさんたちと合流しないと」  ゆっくりケイタが立ち上がる。 「行こう」  と颯太と大地を促した。  社務所から出て、授与所にいた尊に、三人で頭を下げて、境内でケイタと別れた。 「不安だったら、いつでも連絡して来いよー」  大地が笑顔をケイタに向けると、ケイタも軽く手を振った。 「またねー」  颯太もケイタの背中に声をかけた。  蝉の声が、蒸し暑い空気を倍増させている。  子供にしかわからない変化が、三人の秘密として共有された。
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