子供にはあたりまえ

73/85
前へ
/85ページ
次へ
     ※※※※※  颯太・大地と別れてケイタたちは、秩父神社をあとにすると市内観光をして旅館に一泊した。  翌日、ミドリの運転で三峯神社に向かった。  ケイタたちは昼頃、三峯神社に到着して、駐車場から階段を登り、お土産屋兼お食事処で昼食にした。店内に空席はなく、ケイタたちがいるテーブルにコップと水の入ったピッチャー置かれている。コップに、ミドリが四人数分、水を注いでメニューを開くと、連れのナツノに話しかける。 「天ぷらそば美味しそう! 夏野菜盛り! これにするわ。ナツノさんは何にする?」 「そうですね、私も同じのにしようかな。ケイタくんは?」 「同じでいいです」  ケイタが答えると、三人の視線はぼんやりと宙を見つめている清香に集まった。  話に加わってこない清香に、ミドリがナツノと困った笑いで取り繕う。 「清香さんは?」 「お母さんも同じでいいよね?」  ケイタが清香に聞くと、緩慢な動きで頷く。そして何かに怯えているかのように、清香は、そっと周囲を見回した。ケイタは清香の背中に手を置いて、一定のリズムでトントンと軽くたたいて現実に意識を向けさせる。
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加