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「すいませーん、天ぷらそばの夏野菜盛りを四つ、お願いします」
店内で忙しそうに料理を運んでいた年配の女性にミドリが注文する。はーい、と声をあげ、女性が厨房に、天そば夏盛り四つー!と、大声を張る。
ミドリとナツノが、反応しない清香抜きにして会話を始めている。
清香の背を叩く間隔をだんだん、ゆっくりにしていき、天ぷらそばが運ばれてくるころには、清香の顔つきが落ち着きを取り戻していた。
ケイタが食べ終わっても、清香は自分の前の皿に一切、手をつけずにいたので、他の二人に「分けて食べちゃってください」と頼んで、再び清香の背中に手を置いた。
「清香さん、昨日からほとんど食べてないみたいだけど……」
ミドリが心配している顔をする。
「おなかすいてない?」
ミドリに聞かれた清香が首を振った。
「そう。ならいいんだけど」
食べ終えて、少し休憩してから店を出た。
三ツ鳥居の手前で振り返ると、遥かに広がる山々が見渡せた。その景色を背にして、突っ立ってる清香の周りに集まって、四人並んでスマホで記念撮影をする。
「いい景色だわ」
ミドリが深呼吸をする。
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