子供にはあたりまえ

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「何が怖いの? 昨日、秩父神社でお母さんの願いが叶ったんだよ。見えるし、聞こえているんだろ? 神様がお母さんに力を与えてくれたのに、怖いの?」  清香が叫ぶ。 「こんなのいらない。わけわかんない。何なの? もっとちゃんとしたメッセージが私は欲しかったのに! 誰だかわかんないやつの声なんて聞きたくない」  ケイタは、あぁ……と息を吐いた。  三人の子供の力を得てもなお、納得しないのか。 「じゃあ、どうするの?」 自分の声が冷え切っていくのを、ケイタは感じた。 「どう、って……どうにかしてよ。ケイタは聞こえるんでしょう? どうにかする方法を聞いてよ!」 「神様に与えてもらっても、ありがとう、って思わないんだね。ぼくの力はもうないよ。お母さんに与えるかわりに、ぼくはもう聞こえなくなった。左耳も聞こえない。大人なんだし、自分でどうにかすれば?」 「何? その言い草。父親にそっくり」 忌々しげに清香が吐き捨てる。 「そうだね、お母さんに似なくて良かったよ。いらない力なら返してよ。ぼくの他にも力を奪われた子たちがいるんだから」 「頼んでない」  清香の言葉が部屋の壁に当たって、反響する。
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