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そうとう脳のネジが飛んだらしく、気持ちがいい。
脱衣所のほうをチラッと見て人の気配がないと確かめて「一人だし……」と、頭まで潜って、ザバザバと浅い水位の中を。気が済むまで泳いだ。
だんだんクラクラしてきたので、かけ湯をして風呂からあがった。
脱衣所の扇風機が首を振っている前で、体を拭いて、ぼんやり涼む。
頭の中が空っぽになり、何も考えない時間は貴重だと思う。
体の末端から少しずつ体幹までリセットされてゆき、頭の中も洗浄されて、綺麗に組み立て治していくような感覚を、不思議な、それを新鮮なものとして体感した。
視界すらも色が鮮やかになった気がする。
肌の湿気が消えて、さらさらになったところで、脱衣所の壁かけ時計を見ると、午後六時だった。
夕食にも現れず、清香は部屋にいたらしく、ケイタは安心して食事をすませた。
もう日暮れから夜になり、部屋に戻るころには、外は大雨が窓ガラスを叩いていた。
部屋のテレビをつけると、台風が列島を通過中で、明日の午前中には関東を抜けると、気象予報士が言っていた。
轟々と風が雨の威力を強めて、斜めに降りつけている。
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