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清香の願いの滑稽さと、今までケイタが自分を削ってやっていたことの滑稽さと、彼女たちの自己満足の言動の滑稽さが相まって、ケイタは肩を震わせて笑えてきた。
「すみません。箸が転がっても面白い年頃なので……」
笑いながら、部屋を出て、彼女たちが顔を見合わせている姿が視界に入ったが、かまわずに戸を閉めた。
ロビーに下りる階段で、ケイタは足を止める。
「本物か偽物かなんて、悩むのが馬鹿馬鹿しいな」
ケイタは不意に頭に思い浮かんだ光景に、また笑った。
『顧客満足度地域№1店』
と書かれた駅前の不動産屋のノボリが思い浮かんでいた。まるで、いままでの自分を表しているような気がして。苦笑いした。
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