その夜 ※

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「あ……っ!」  その手は限りなく優しいのに、キスで蕩けたエルゼを情け容赦なく官能の渦へと落としこんでいく。むき出しの首から肩。そして柔らかな胸を揉みしだき、腰を撫で、太ももへ――……。 「ふぁ……、んっ……」  エルゼは声を漏らす。とりわけ肌の薄い部分に触れると、エルゼの身体の奥がとくんとくんと疼いて仕方ない。  愛撫に気を取られていると、ロレシオの舌が、急に目の前で誘うように揺れていたエルゼの双丘の頂をべろりと舐めあげた。予期せぬ強い刺激に、エルゼの肩がびくりとはねた。 「ひぁっ……!」  思わず口から漏れ出た悲鳴のような嬌声に、エルゼは驚いて自らの口を手でふさぐ。しかし、ロレシオがニッと笑ってすばやくエルゼの指に自分の指を絡めた。  エルゼは顔を真っ赤にしてふるふると顔を振った。 「ろ、ロレシオ、様……。声が、でちゃっ……」 「昼間とは違って、この時間であればこの塔に君の声を聞くものはいない。だから、……聞かせてほしい」  ロレシオはそう言うと、エルゼの敏感な頂きをぱくりと咥える。エルゼの身体が意志とは関係なく、びくびくと跳ねた。脳髄に痺れるような甘やかな電流が流れる。
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