夜の帳に星の降る ※

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 いまやロレシオの動きすべてが、エルゼの身体に強烈な快感を灼きつけた。どちらのものか分からない唾液が、エルゼの口の端から流れる。お互いの輪郭さえ、定かではない。 「ああっ……。ふぁぁああん……ッ!」  エルゼの男の形を知った隘路が無秩序にうねり、ねっとりとしゃぶりあげる。ロレシオの艶っぽいため息から、それが壮絶な快楽を彼に与えていることは明白だった。 「……あああっ!」 「ふっ……」  ロレシオはついに熱い吐息を漏らし、根元まで引き抜き一気に突き上げる。脊髄を突き抜けるような痺れに、エルゼは腰に響くような甘い嬌声をあげた。うねったぬかるみが小刻みに震え、男を吐精へと誘う。 「ああっ、ロレシオ……!」 「ぐっ……っ、エルゼ……!」  ふたりは同時に達し、エルゼの胎内で白濁が弾けた。 「……エルゼ……、愛おしい、私の妻……」  ロレシオの大きな手が、ぐったりとシーツに横たわるエルゼの頬を撫でた。まるで、世界で唯一の宝玉を触るような手つきで。 「愛おしい人。……私の、人生のすべてを捧げたってかまわない……」
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