夜の帳に星の降る ※

9/10

261人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
「……もう、十分に捧げてもらいました。貴方の人生は、イヴァンカのためにあったようなものだから……。だからもう、これ以上捧げるのはやめて……」 「まだ、足りないんだ。次はエルゼのために生きる。前世の分まで君を甘やかして幸せになってもらわないと……」  ロレシオはエルゼの唇を奪う。エルゼの頬に涙がつたった。  一人の孤独な騎士の愛がようやく結実し、一人の愛されることを諦めていた孤独な女の魂が、満たされ、癒えていく――……。 「もう十分すぎるほど幸せです」  溢れる涙をそのままに、エルゼは愛しい人の胸板に頬を寄せ、そのまま目を閉じた。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

261人が本棚に入れています
本棚に追加