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その時。
地獄に通じる門が開いて隙間風が漏れたら、こんな感じだろうと思わせる「禍々しい音」が聞こえてきた。
美森が不思議に思って聞いていると、その「禍々しい音」が「人間の言葉」へと変化していく。
「ぐごぉおおおぅ……き~り~た~にいいぃ、ドグサレ外道野郎がああぁ!ぶっ殺してやるうぅ!」
美森が伏せていた顔を上げると、そこには白いブラウスと黒のタイトスカートが似合う、スタイル抜群の般若が立っていた。
恐る恐る「えっと……白百合さん、ですよね?」と敬語で確認しかけた美森の声が、デスボイスでかき消される。
「ごあああぁ!ちぃとばかし顔がいいからって、今までの好青年っぷりが演技だったとはなぁ!純情な社長を騙くらかしてヤリ捨てるたぁ、上等じゃねぇかああぁ!」
「……ヤリ」
「花屋をナメたことを後悔させてやるわ!まず最初に、国会中継中に殴り込んで、霧谷のクソ野郎の無節操っぷりを全国に訴えてやりましょう!」
どう聞いても冗談とは思えない迫力であるため、美森が必死に止める。
「や、やめてええっ!僕が一番ダメージ受けそうだから!それに、お嬢様学校を卒業した令嬢の白百合さんが、そんな過激な言葉を使っちゃダメだよ!」
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