天地創造

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 お休みになっている間、神はぼんやりとお過ごしになっていた。  大概のものは造ってしまい、神は退屈なさっていたのだ。 「何か、面白いものはないだろうか」  神はそうおっしゃって下界を見下ろす。  下界では人が火を克服し、言語を獲得していた。  人は目覚ましい進化を遂げ、やがて文明を築き始めた。 「フム」  現れては消え、消えてはまた現れる文明を神は興味深そうに眺めていた。  ずいぶん長い間、神は下界を観察していた。  食物連鎖から抜け出し生態系から飛び出した人は、生活の質を向上させるため、より高度な技術を習得していった。  愚かな戦争を繰り広げながらも、人は産業革命を経てオートメーション化を推し進める。  便利な道具が次々と発明され、人は『豊かな暮らし』を手に入れた。  『タブレットなる板』で、とある国の公営放送が流れていた。  それをぼんやりと眺めていた神は、やがてポンッと一つ膝を叩く。 「これだ!」
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