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「氷空くん?」 「美味しい?」 「あ、はい? 甘くて美味しいですけど…」 「俺も好きな子からのチョコレート欲しいな」 「…!」 美々がそんな発言にビックリしていると、氷空はニッコリ微笑むとこう言った。 「美々、くれる?」 「チョコレートをですか?」 「美々の返事も待ってるけどね?」 「…?!」 「まあ、まだ待ってるけどね」 氷空はゴミを焼却炉に入れながらそう告げるので、美々は思わず氷空の制服をギュッと握っていた。 「美々、何?」 「…! ごめんなさい? 私、服掴んでたね」 「いいよ? 美々になら触らせたい」 「えっと…」 「ほら、戻るよ? まだ黒板綺麗にしてないし」 「氷空くん… あの…」 「ん?」 「手繋いでいい?」 「フッ いいよ?」 氷空はニッコリ微笑むと、美々の手をギュッと握ると教室まで歩き出した。 「純麗さん、今日はバレンタインですね?」 「そうね? だから、何?」 「何って… 恋人達の一大イベントですよ」 「紫生くん、そんなの拘る方だったの?」 「当たり前です! 純麗さんから普通に欲しいです」 「ふぅん? まあ、気が向いたらね」 純麗は楽しそうにそう告げると、紫生はワンコみたいに尻尾を振っていた。 「ふふっ」 「な、何ですか?」 「紫生くんに尻尾が見えた気がしたの」 「犬じゃないっす!」 紫生と純麗がそんなやり取りをしていると、美々が黒板を消して手を洗って戻ってきた。 「美々、お疲れ様」 「ふふっ お昼食べたら課外授業だね」 「何だっけ?」 「んーと、暗闇体験って書いてあるけど… 詳細が分からない」 「ふぅん? 謎の授業ね」 「美々、昼食べるよ?」 「あ、うん?」 美々がそう告げると、氷空は勝手に鞄を持つと手をギュッと握る。
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