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「……貴殿の話はわかった。あまりあてにされたくもないが、協力はしよう。微力ではあるがな」
「えっ、いいんですか!? やったー、ありがとうございます!」
パーシェルが急に話を戻したことで、ノア様は両手を上げて大喜び。テラさんも、ノア様の目的が無事に果たせたことに安心したのか、ほぉっと温かな溜息を吐きます。その直前にしていたエリーのお話は、おふたりの意識から弾け飛んでしまったっす。
その夜……あまりにも、懐かしい。遠い日の夢を見たっす。
触れただけで全身を火に包まれ、死に至らしめるエリーの体。それは大きな草刈り鎌の形をしていました。人々に怖れられ、山奥の祠の中で安置されていたエリーの元へ、パーシェルが辿り着いたっす。限られた情報を繋ぎ合わせるような形でようやくエリーを見つけたパーシェルは、五十年にも渡る探索の旅に疲れた顔でした。
その時、彼に、具体的にどんな言葉かけをされたのか。エリーは細やかには覚えてないっす。でも、ひとことだけ。
「これから、よろしく頼む」
覚えているのは……ただ、それだけっす。
夢から覚めたら、まだ、夜明けは遠い時分だったっす。
すっかり頭が冴えてしまっていて、決して寝ぼけ眼なんかではなく。エリーは立ち上がり、お隣の部屋で就寝中のパーシェルの寝顔を見に行きました。
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