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ならば、反乱軍を支援しているロシア空軍に直接話をする事が出来れば、この状況を打破する事が出来るかもしれない。
しかし、だからと言ってこの無線を聞いてくれた彼等が、ベアに話を通してくれる保証など何処にもない。
むしろ、ベアに話をしてくれる可能性なんて、ゼロに等しいのだろう。
それでも私は、私自身とこの狭い輸送機の中で恐怖に震える人々のために、僅かながらの可能性であったとしても、行動せずには居られなかった。
もはや私達を守ってくれる戦闘機は、ここには存在しない。
だから私は、自分達が生きる為に、出来る事は何でもしようと思った。
どんなに惨めでも、今私達が生きている事実と、生きようとする意思はなによりも強く、尊重されるべきだと思うから。
私が彼等に無線で話しかけてから、5分程時間が経った。
だがその5分は、体感的には数時間が経過したような緊張感を、私達にもたらした。
しかし、護衛の戦闘機達はまたたく間にやられてしまったのに、それでも私達の乗る輸送機は、5分もの間、一度も攻撃を受ける事は無かった。
そして、パイロットに返却する事すら忘れていたヘッドフォンに、少しだけ何かを引っ掻いたようなノイズが聞こえたその時。
「森村先生。久しぶりだ」
何処から発信しているかは分からないが、私が身に着けるヘッドフォンに、誰かが話しかけてきた。
だが、その一言の言葉を聞いただけで、私はその声の正体にすぐに気がついた。
同時に私の目からは大量の涙が溢れ出し、私は必死に声の主に向かって返事を返した。
「ベア!!! ベアなのね? ああ神様! なんて事なの! ベア……どうか私達を見逃して下さい。私達は、まだ死にたくはないの。どうか……どうか……」
敵であるはずなのに、ヘッドフォンから聞こえてきたベアの声に、私はとても安心し、泣きながら彼に助けを求めた。
あのジャングルで、彼は命を掛けて私を助けてくれた。
だから彼ならば、例え敵であったとしても、再び私達民間人を、この窮地から救ってくれるかもしれないと思ったのだ。
そして神は私の願いを聞き入れ、私に再びベアと再会するチャンスを与えてくださった。
私は必死に懇願した。
何でもするから私達を逃してくれと、すっかり力の入らなくなった足を、コックピットの床に擦りつけながら、敵であるはずのベアに、必死に助けを求めた。
すると…………
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