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一週間後、未曾有の大災害に見舞われた広島県では、まだ災害救助が続いていた。
班長と部下は無事救助され、ラプラスの所在を探したが見つからず、ついさっき成田国際空港から出国したと空港警察から連絡があった。
「やられた──のか」
「さあ」
結局、ラプラスの目的が分からなかったので、テロ行為が行われたかどうかも分からなかった。
「となると、ヤツの滞在期間中の行動をもう一度調べ直すしかないな」
班長と部下はまとめられた資料とレポートを何度も目を通したが、わからなかった。
「なにか見落としているのかな──」
部下のひと言で班長は思い出した。
「そういえば宿泊客が口々に自分のせいみたいに言ってたが、あれは何だったんだろうな」
「さあ? 調べてみましょうか」
「頼む、なぜか引っかかる」
部下はさっそくイベント会社に連絡をとり、参加者の名簿を手に入れると、何故そんなことを言ったのか訊いてまわった。
※ ※ ※ ※ ※
「何故そんなことを言ったのか分かりましたが、正直徒労に終わった気分です」
「何だったんだ」
「いわゆる雨男雨女というやつで、なにかイベントに参加すると必ず雨になるという人達ばかりでした」
「ばかりだと──全員なのか」
「ええ──って、全員?!」
さすがに不自然だと感じた班長は、さらに調べる。そしてある仮説を立てた。
※ ※ ※ ※ ※
翌日、班長は広島に出張し、反社組織の大親分との面会をとりつけた。
「急な面会の申し出を受けていただき感謝します」
「なになに、なにか面白い話を聞かせてくれるとか。楽しみにしております」
「戯言と思い、聞き流していただければ幸いです。ラプラス・プランナーという国際的テロリストがい
ましてね──」
老獪としか形容し難い大親分に、ラプラスが来日してから出国するまでを簡単に話すと、班長は様子を窺う。
「その、ラプラスとかいうテロリストがどうかしたのかね」
「おとぼけを。よくご存知でしょう、なぜなら今回の依頼主は大親分、貴方でしょうから」
「ずいぶんと言いがかりをつけられたものだな。覚悟を持って言ってるんだろうな」
さすがは大親分。好々爺という雰囲気から一気に凄みを増した態度に変わる。だが班長も負けてはいない、涼しい顔で受け流す。
「いえいえ先程も言った通り、戯言です。もう少し話させてください」
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