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わたしの名前
「光千花の名前はね、わたしに
千の光が降り注ぐようにって意味だってお母さんが言ってたの」
友達の光千花ちゃんが言う。
「わたしの名前は愛のある美人な子に育って欲しいから、愛美ってお父さんが言ってた」
友達の愛美ちゃんがにっこり笑った。
「雨幸ちゃんは?」
光千花ちゃんが楽しそうに聞いてきた。
そういえばわたしの名前の由来
お母さんに聞いたことない。
「帰ったらお母さんに聞いてみる」
◯◯◯
「お母さん、お母さん」
わたしは台所で野菜を切ってる
お母さんの服を引っ張った。
「ん?」
お母さんが首を傾げて、わたしと目が合うくらいまで屈んだ。
「雨幸の名前の由来何?」
「まぁ、気になったのね」
お母さんがクスリと笑う。
「教えて〜」
お母さんは遠くを見つめる。
「雨幸の名前の由来はね、あなたの心に
たくさんの幸せの雨が降りますようにって願いを込めてつけたのよ」
わたしの心にたくさんの幸せの雨が降るように。
なんか、すごく
「素敵!!」
「ふふ、雨幸は、今幸せ?」
「うんっ! 友達も、家族もいてすごく幸せ!!」
お母さんは満足そうに微笑んだ。
夜、わたしは宿題のプリントに取り掛かった。
いつもより綺麗な字で
佐原 雨幸
と名前の欄に書くと、
わたしの名前がキラキラしているように見えた。
〈終わり〉
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