雨の日のナポリタン

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 あれから私は、頻繁にあのカフェに通うようになった。日中は相変わらず頭痛に悩まされることが多い。だけどあのカフェのナポリタンとコーヒーが私を頭痛から開放させてくれるし、日中の痛みも以前よりは少なくなったと思う。  だけど、不思議なことに晴れの日はお店自体がやっていないようだった。オーナーが雨の日は本業ができないからカフェにいると言っていた。オーナーがいない日は店自体を開けていないのだろうか。  気が付くと、前日の夜は天気予報を欠かさずチェックするようになっていた。あのカフェに行けるかどうかでその日の仕事のやる気にも影響している気がする。  明日の天気は曇り時々雨。降水確率は40%と出ていた。 「明日、雨降らないかな……」  無意識に呟いている自分に驚いた。あんなに頭痛に悩まされているのに。あれだけ憂鬱だった雨の日が今の私にはどこか楽しみに思えるようになっていた。  だけど結局この日は雨が降らなかった。次の日も、また次の日も。雨が降りそうで降らない日が続き、テレビでは梅雨明けが発表された。  梅雨が明けて晴れの日が続いたことで、頭痛からも開放された。体調が良くなったのでいいことなはずなのに、どこか生活に物足りなさを感じる。あのカフェが恋しくなっていることに気が付いた。  数日後、また私は頭痛で目が覚めた。窓の外を見ると雨が降っている。天気予報では台風が近づいているとのことだった。  会社へ行くのに気が重くなる。だけどあのカフェに行けるんじゃないか。憂鬱な気持ちと楽しみな気持ちが入り交じった不思議な感覚を携えながら出社し、頭痛と格闘しながら仕事をこなした。定時を30分ほど過ぎた頃、会社を出てあのカフェに向かう。
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