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わたしは、大丈夫。
だってもう、みんなのサポート役じゃない。
みんなと肩を並べて、戦えるんだから。
わたしは骸骨の騎士に笑顔で返すと、デスサイズの柄を握りしめて本の都市伝説を見据えた。
対する本の都市伝説は影で蠍の尾を形取ったまま、その尾の前にまた新たな姿をゆらりと形取ってみせた。
それは、ウェーブヘアが特徴的で妖艶な雰囲気の女の人。
彼女はわたしを見ると、また鼻で笑った。
『何を道具となんか話しをてるんだい。……ルネもそうだったよ。占う前にいつも道具に話しかけるんだ。「今回もよろしくね」「今回もありがとうね」って。……所詮道具はモノに過ぎないってのにさ』
その言葉にわたしはカチンとくる。
大好きで尊敬するおばあちゃんを馬鹿にする言葉は、許せない。
「おばあちゃんは、道具を道具として見てなかった! 占いでみんなに言葉を伝える『友達』だって言ってた」
『ハッ。何が友達だ。ちゃんちゃらおかしいね』
「おかしくない!! わたしは、わたしを必要としてくれる仲間がいるから、今こうして誰かを救うことができてる!」
わたしが言い返すと本の都市伝説のページに現れた女の人は、さっきまでわたしを馬鹿にしていた表情をスッと硬くさせた。
『友達ってのは、いつかお前を裏切るんだよ! アタシを裏切った、ルネみたいにね!』
その言葉を聞いて、わたしは本の都市伝説に何も言い返せなくなってしまう。
おばあちゃんが、友達を裏切ったってどう言うこと?
だって一度もそんな話、聞いたことない。
わたしの戸惑った様子に、本の都市伝説の女性はおやおやと目を細める。
『おばぁちゃんから聞いたことないかい? 姉弟子の存在を。あの子は可愛がってやって恩も忘れて、妹弟子の分際で、アタシが師匠から賜るはずだった『星謳いの魔女』の称号を奪っていった!』
「……『星謳いの魔女』って……」
『そう、元々はアタシが名乗るはずだった、この国一の占い師の称号だよ。あの子はね、あたしが
スランプに陥ってる時に師匠に取り入ったんだ』
「おばあちゃんはそんなことしないっ!」
いつも誰かの悩みに寄り添って、星の動きを読んだりカードに未来を託したりして、世界に言葉を響かせていったおばあちゃんが、そんなこと。
だけどわたしは、おばあちゃんの若い頃を知らない。
だから、自分の心が揺れることに動揺している。
『あんたの友達も時期にあんたを裏切るよ。だって、役立たずだった子が、急に力を発揮して自分のお役目を掻っ攫っていくんだよ? いずれ潰し合いが始まるってもんだ』
見ものだねぇ。と笑う本の都市伝説から現れた女性の目が笑っていなくて。
そうなの?
わたしは思わずジューシィピーチ……みももちゃんを伺った。
けど、みももちゃんはわたしの方なんて見ない。
キリッとした顔つきのまま、スティックの先をピッと本の都市伝説から浮かび上がる女性に向けた。
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