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私は、生徒会室の前に立った。
ゴクリ、と唾を一つ飲んでから、中の見えない分厚いドアをコンコン、とノックする。
「高等部文科コース一年部、忍野海乃叡です。放送で呼ばれてきました」
「どうぞ、入って」
中から素っ気ない返事が返ってくる。
キィィィッ_バタン
「生徒会へようこそ‼」
生徒会室へ足を踏み入れた瞬間、そう、英賀保ちふゆは言った。
英賀保ちふゆとは_
史上最年少高等部二年部にして、生徒会長になった現生徒会長である。
目つきが異様に鋭く、やや強引な所や気強い所もあるが_、学院中から絶大な支持を受けている先輩だ。
「…?生徒会、には全校生徒が入ることになっているのですか?」
思いっ切り首を傾げて、海乃叡は聞いた。
「いいえ。各部から、毎年一人ほどこちら生徒会本部で選ばせていただき、その選ばれた方と、立候補なされて方の中から投票でお一人、入会することになっております。忍野さんは優秀で、生徒会で大活躍を果たしそうだと言うことで、私の方から、高等部の生徒会長となることを決めさせていただきました」
英賀保の言葉に、イマイチ状況が飲み込めていない生徒会室にいた生徒会の会員とおぼき人たちと私は、ぽかんとした。
「高等部の、生徒会長?え、私高途生なのに?私、一年部だし、そんな対して頭も良くないし、小中学校で生徒会なんか入ってなかったし…。私なんかより、二年部三年部の頭いい使える人を選んだ方がいいと思いますよ?」
高途生とは_
爾学院に置いて、高等部から入学した者を指す言葉である。
小等部からではなく、高校から、途中から入った人だから高途生。
中等部から入った人は中途生、小等部から入った人は、純爾学院のため、純爾生と呼ばれる。
因みに、爾学院に置いて最難関の文科コースに属する高途生は、海乃叡一人である。
「いいえ。それでは駄目なのです。高等部において、忍野さんよりも使える人材が居ないので。それに、これは決定事項、ですので。どうこう言われた所で変わることでは無いんですよ」
その言葉に、さらに生徒会会員の人達と私はぽっかーんとした。
え?なにそれ私に拒否権は無いの?
「…は、はぁ」
「と、言うことで!今日から生徒会の仲間入りです!改めまして、生徒会長の英賀保ちふゆです。宜しくおねがいします」
「…はぁ」
もう、話の急展開についていけず、はぁとしか言えなくなった私を他所に、話はどんどんと進んでいく。
「こっちは、副生徒会長の箟岳聡です。そしてこちらは、書紀の涌谷伶央と卍山下美千留です。…まぁ、会員の方は、活動している上でちょっとずっつ名前を覚えていくということで」
「あ、嗚呼、忍野さん?今日から宜しく、ね」
「と言うことで!忍野さん、明後日の生徒会新任会は宜しくねッ‼…用はこれだけっ、帰っていいよ〜」
「…えーーとその、宜しく、お願いします?」
キィィィッ バッタン
はぁぁぁぁぁぁ⁉私が、何で高等部の生徒会長なんかになっちゃったの?!やりたくないんだけど、そんなの‼
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