魔 刀

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 再び赤くなった鋼の塊を取り出し、先ほど同様、幾度も打つ。伸びた長方形を2つに折り曲げ、分厚い鋼にする。  その後、熱し、打つ。それを何度も繰り返して、鋼を鍛錬し続ける。何時間も同じことを繰り返しながら、形を整えていく。そして、やっとそれらしい物が出来上がる。  刀は魂を宿すという。西洋の剣とは違った、それを。  大方の形が出来上がったら、一旦冷やし、研ぐ。研ぐといっても、まだ粗削りだ。目の粗い砥石で表面の凹凸を失くす。この段階で、一見、刀のように見えるが、まだ切れる代物ではない。  粗削りが終わると、刃に泥を塗っていく。丹念に、丁寧に。泥を一様に塗らなければ、出来上がった際の美しい波紋は浮き上がらない。集中して、塗り込む。
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