変化

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変化

 翌日の昼ごろ、遅く起きたジムはアパートでハムサンドを食べながら、ぼんやりと昨日の奇妙な出来事について考えていた。  ゲーミンを助けるために反射的に川に飛び込んだのを思い出しながら、当初計画していた人生を終わりにするためではなく、誰かを救うために勇敢な行動をとれた自分に感心した。  まあ、結果的に橋から飛び降りるという行為をしたわけだが、動機が違うだけでこれほどまでに嬉しい気持ちになれるのかと不思議に思う。  もしかすると、今まで思い込みにとらわれていただけで、俺は駄目なヤツなんかじゃないのかもしれない、と自分を肯定的に捉えながら鼻を触る。  ゲーミンが去っていった後から、ずっと微かな異臭を感じていた。  何かの動物のような臭いがする。  そこで、もしやゲーミンからプレゼントされた『迷子になった子供を見つける能力』が発動しているのかもしれないとハッとした。  近くに動物園があるが、まさか、そこの動物の臭いなのだろうか?  檻から脱走した動物の迷子? いや、もしかして動物園の中で迷子になってしまった子供と近くにいる動物の臭いが混ざっているのを俺は嗅いでいるのだろうか?   するとジムは、さらに自分の身体の異変に気づく。  不思議なことに違和感は嗅覚だけに留まらず、全身の隅々まで広がっているようだった。  気づけばジムは、まるで幼い頃にテレビで観て応援していたヒーローになったかのような気分になり、超人的なスピードを出しながら動物園へと駆けて行った。 「急にパワーと使命感がみなぎってきた! ゲーミンのヤツ、俺に内緒で変な能力も勝手にプレゼントしやがったなー! まあ、楽しいから許すけどー!」と叫びながら。
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