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ジムがスピーディに次々と迷子を助け出し世界中の有名人となっていた頃、ゲーミンは一緒に宇宙船に乗ってきた相棒が溺死しているのを太平洋で発見した。
相棒の死のショックから、何ヶ月もクルクルと回転しながら意味もなく世界中を放浪し続け、壊れた宇宙船を探す気力もなくなり絶望していた。
そんな日々が続いていたある日、グレイマサユキのマネージャーのタコ型宇宙人ノブユキが宇宙船に乗ってゲーミンに会うために地球にやって来た。
サバンナを回転しながら移動していたゲーミンの目の前に全長15メートル程度の葉巻型の宇宙船が着陸したのだ。
驚きを隠せないゲーミンに、中央のドアを開けて出てきたノブユキは「実は、ゲーミングチェア星人の君が地球にいるという情報を探偵星人から手に入れてね。報告によるとジムという人間と親しくなったそうじゃないか」と話し始めた。
ゲーミンとノブユキは一匹のチーターがジワリジワリと警戒しながら近づく中、グレイマサユキの『ジム俳優化プラン』を中心に世間話を交えながら50分程立ち話をした。
話を終えると、足が一本減った状態のノブユキとドライバーだけを乗せた宇宙船はすぐさまグレイマサユキのいる星へと飛び去って行った。
ゲーミンは満足そうな足取りでゆっくりと離れていくチーターを気にしながら、先程の会話を反芻する。
俳優としてではないが、自分が違った形として劇団の一員にスカウトされたことに驚いた。
ジムと一緒に楽しい未来を過ごせることを想像していると、激しかった心の痛みが少しだけ和らいだ。
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