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プロローグ 朝倉町の災厄
ヒュオオオ……
鼓動の高鳴りが、不安が、私の心を支配していく
これが、私の魔法少女としての最後の戦い……
もうこれ以上こんなのは嫌だ
「わ、私は富士見ひかり、アンバーの力を身に宿し、引き出し、そ、そして護る者!我が思いに呼応し、悪しき者を優しく…じょ、浄化せよ!」
いつも通り言葉が詰まりながらも、変身するための詠唱を行った
琥珀色のオーラを身に纏いながら、それぞれが上半身、下半身、足という風に魔法少女に有りがちな衣装へと変わっていく
「……ん……?……白……?」
違和感を覚え、ふと視線を横にやると、琥珀色に混ざるように白色のオーラに周囲を包まれていた
「もしかして……」
「奥義 全方位気配切り(オールレンジデリートソード)」
全方位に琥珀色の衝撃波を発生させ、気配の反応を待った
変身中に技を使うのは、身体的な負担がかかってしまうため、通常は使用するのは避けられている
「反応なし……」
(気配はあるのに、反応しないということは、潜伏スキルでも使ってるの?だとしたら面倒くさい……)
その直後、私の考えの回答をするかの如く技名が聞こえた
「奥義 全世界爆破(アトミック)」
「ちょっと!なんでアトミック使ってるのよ!話違うじゃない!今すぐ停止してよ!」
「…うるさいな…」
トン……
「うるさいって何なのよ!って、ちょ、いややぁあああ!」
今回、私の最後の戦いに協力してくれる魔法少女の怒声が、悲鳴が聞こえた
「…アトミック…ゆめ、なんて…奥義を…」
その言葉を呟いた瞬間白い光に飲み込まれた
「オニキスさん…今、今やっとこっちでの仕事が終わりました……今からそちらのほうへ……」
顔を上の方へ向けながら、声を震わしながら、祈るように話した
魔法少女小千谷ゆめが放った禁術奥義、アトミックにより、周囲の広範囲に及び人の命が、この星の全魔法少女が消えた……
この出来事はこの星の神の子、天使的存在として、崇拝の対象とされていた魔法少女の概念を地に落とす出来事となり、後世へと語りつがれることとなった……
このときの出来事の名称を人々は後に「朝倉町の災厄」というようになった……
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