はじまりの日

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 私が、自分のクラスの教室へと入ると、いつも私が一緒に行動している二人である高橋 凛(たかはし りん)松野 紗弥(まつの さや)が、近づいてきた。 「明日花、おはよう! 今日、ちょっと遅くない?」 「おはよー。あ、そう?ちょっと忘れものしちゃって……」 「明日花が忘れ物って珍しくない?それを今まで、探しに行ってたの?」 「大丈夫?見つかった?」  驚く凛と心配そうに私を見る紗弥。ただ、私は、今のこの会話に、なんとなくではあるが、少し違和感を覚えた。 ーーん? 私は、家に忘れ物をしたという体で、来るの遅くなったと答えたつもりだったんだけどな……。 ーーまるで、二人は、私が学校に忘れ物をしたことを知っているような……  自分の勘違いかなと思い直し、私は、答えた。 「え、いやいや。ほら、家に、折り畳み傘忘れちゃって! それ取りに帰ってたら、ちょっと、着くのが遅くなっちゃったみたい。」  自分でも何故かサラッと嘘が出てきて、びっくりしたが、二人は納得してくれたようで良かった。 「なーんだ、そういうことね!」 「あー、確かに。今日、午後から雨降るかもしれないもんねー」  自分でも何故咄嗟に嘘をついてしまったのかわからないが、なんとなく、あの今日の物理教室の一件は、まだ誰にも話したくない気がしたのだ。  三人で話していると、ちょうどチャイムが鳴ったので、私たちは、それぞれ自分たちの席についた。
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